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専属的合意管轄裁判所とは

専属的合意管轄とは、裁判紛争が生じた際に、どこの裁判所で争うかを定めるものになります。

契約書上では、下記のように記載します。

 第●条(専属的合意管轄)
甲及び乙は、本契約に関して裁判上の紛争が生じた場合は、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。

 

上記は、読んで字の如く、契約を交わした当事者同士で、話合いでは解決できない裁判上の紛争が生じた場合は、東京地方裁判所で裁判しましょう!

という決め事になるのですが、結構この文言を記載する意味を理解しておらず、契約書に記載をしていなかったり、自社の管轄とは異なる裁判所を平気で記載している契約書を見受けます。

後者は恐らくテンプレートをそのまま利用したことから生じるミスだと思います。

この文言がどうして重要な意味を持つかと言いますと、裁判を起こす場合、民事訴訟法では、原則として「被告の住所地を管轄する裁判所」に訴訟を提起することとしています。

民事訴訟法の原則に従って訴訟を提起するならば、極端な話、沖縄の企業が北海道の企業を訴えたい場合、沖縄の企業は北海道の企業の管轄裁判所まで足を運び訴訟を起こさなくてはなりません。

インターネットがこれだけ普及している現代ですから、沖縄の企業と北海道の企業がビジネス上の取引を行うことは普通にあると思います。

しかし、この取引が契約書を交わさず口頭での取引で、万が一トラブルが生じて裁判ということになってしまった場合、上記のように裁判を起こそうと思った側の企業が相手方の企業の管轄裁判所まで足を運ばなくてはならなくなってしまうのです。

裁判は、少額訴訟でない限り、通常1回の審理で終了することはないので、半年から1,2年の間は高い交通費を払って毎回相手方の管轄裁判所まで足を運ばなくてはなりません。

争っている金額が数千万円や数億円という事件であれば、それでも争う価値はあると思いますが、金額が数十万円から数百万円では、交通日だけで足が出てしまい、訴訟を断念せざるを得ない状況になることも多々あります。

恐らく、訴訟ということになれば弁護士を代理人に立てるでしょうから、弁護士の交通費や日当、その他証人尋問の際の費用なども負担しなくてはなりません。

管轄裁判所が自分にとって不利な場所であり、訴訟以外の方法でトラブル解決が困難な場合は諦めざるを得ないケースも実際にあります。

逆を言えば、管轄裁判所を自分にとって有利な管轄裁判所に契約書上に記載しておけば、相手方が訴訟を断念するケースもありますので、契約書を作成する際は、自分にとって有利な管轄裁判所にするようにしましょう

自分にとってどこの裁判所が有利かは、下記裁判所のホームページから探すことが出来ますので、契約書を作成される際は参考にしてみて下さい。

http://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/index.html

 

上記のように「●●裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」と記載しても良いのですが、支店など本店以外の所在地を有する会社であれば、

「甲の本店又は支店を管轄する●●裁判所」

 

と記載するとより広く管轄裁判所を選ぶことが可能となります。

また、記載する裁判所についてですが、大抵の契約書が「●●地方裁判所」と地方裁判所に限定していることが多いのですが、「●●簡易裁判所又は●●地方裁判所」とした方が、法的手段の幅が広がるのでおすすめします

というのは、法的手段には「少額訴訟、民事調停、支払督促」と通常訴訟以外にも手段があります。

支払督促は相手方の住所地を管轄する裁判所でないと申立てが出来ませんが、少額訴訟と民事調停なら合意管轄があれば、その地で申立てを行うことが可能です。

そして上記手段は簡易裁判所で申立てることが多いのです。

簡易裁判所と地方裁判所の区別は請求する金額が140万円以上なら地方裁判所。140万円未満なら簡易裁判所となります。

少額訴訟は60万円までなので簡易裁判所。民事調停は簡易裁判所、地方裁判所どちらでも申立て可能です。

弁護士に依頼する程でもないちょっとしたトラブルには上記手段が有効な場合もありますので、そういった際に、契約書に簡易裁判所の記載も入れておくと非常に有効です。

 

但し、管轄裁判所の記載を契約書に記載していないからといって諦める必要はありません。

貸したお金を返して欲しいという貸金請求や売掛金の請求、損害賠償請求は、請求する側(原告)の住所地を管轄する裁判所に訴訟を提起することが可能です。

また、どうしても契約書上で相手方の裁判所であったとしても、裁判管轄移行の申立てを行えば、裁判所が申立人の住所地で裁判を行った方が良いと判断した場合は、管轄を移行してくれる場合があります。

移行申立てが裁判所に認められることは少ないのですが、そういった手段もあることを知っておけば、すぐに諦める必要はなくなると思います。

合意管轄裁判所の取り決めは、トラブルの際に大きな効力を発揮する場合がありますので、今まで軽視してきた方はもう一度、現在ある契約書をチェックしてみて下さい。

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