業務委託契約書を作成する際に、委託内容の詳細を別紙に記載するという形を取ったり、大まかな委託内容を定め、細かい部分は個別契約で委託するというようなケースがございます。
運送委託、製造委託などでは、個別の発注内容は個別契約として、別紙に定めるというような形を取ることが多いのですが、この個別契約として、発注書など別紙を利用する場合にトラブルが生じることがあります。
個別契約は、継続的に取引を行う場合に、個々の取引の都度、契約書を作成するという非効率を回避するために、個々の取引内容に共通に適用される基本となる事項については、基本契約を締結し、数量や代金、納期など、毎回異なる取引部分については、発注書などの別紙を用いて契約を締結するという契約になります。
上記のようなケースは継続的な売買契約や製作物供給契約などによく用いられるのですが、業務委託契約にも用いられことは多々あります。
例えば、ポスティング会社にポスティング業務を委託する契約を結ぶ場合、大まかなポスティング業務に共通する事項を基本契約として交わし、配布枚数や期限、料金などは個別契約として別紙にて決めるというような形になります。
イメージ出来ましたでしょうか?
このような契約を交わす際にありがちなのが、基本契約はきちんと交わしていても、個別契約の別紙を交わし忘れていたり、きちんとしたフォーマットを作成していないということがあります。
実際にご相談を受けた例として、上記ポスティング会社に業務を委託したが、そのポスティング会社が委託者の意図とは異なる配布をしたため、契約違反として料金支払いの有無についてトラブルが生じた例があります。
基本契約には、業務遂行方法は別紙に従うよう記載をしているが、別紙には発注枚数や料金しか記載されておらず、具体的な配布方法は記載されておりませんでした。
ポスティング会社が行った配布方法は、ポスティング業界の中では、指示が無ければ通常してはならない配布方法であり、最初はポスティング会社も自らの行為について責任を負担すると言っていたそうです。
しかし、いざ契約違反としてお金を払わないという話になると、手の平を返したように「禁止事項として契約書に記載されていない」と主張し、裁判を起こしてきました。
これ以降は言った言わないの水掛け論です。
この件は、当事務所が提携している大手弁護士事務所に裁判を引き受けて頂くことになりましたが、商慣習として、そのポスティング方法が指示がなければ通常してはならない行為であると認められれば恐らくはお金を払わなくても平気でしょうが、やはり契約書(個別契約書)に禁止事項若しくは配布方法の指定がきちんと記載されていれば裁判にまで発展しなかったと思われます。
本件は、別紙の扱いを軽くみていたがために起こってしまったトラブル事例であり、これは別紙をきちんと作成していれば防げたことかもしれません。
実際には、完璧に契約書を作成していてもトラブルが生じるときは生じます。
ただ、契約書があるのとないのとでは、その後の結末が大きく違います。
膨大な費用と時間をかけて裁判をするよりも、裁判にならないために対策を打つ方がよっぽど楽であるとご理解頂ければと思います。
現在運用されている契約書に「別紙にて定める」「別途定める」などの記載がある場合は、その事項についてきちんと別途定めているか確認をしてみて下さい。
知的財産権の帰属などについては、別途協議ではなく、きちんと定めるべきです。




