本内容は全ての契約書の作成に当てはまる事項とも言えますので、今まで、どのようにして契約書を作成してよいか分からなかったという方は参考にして頂ければと思います。
契約書を作成する上で、まず初めにすることは、取引内容(契約内容)を具体的にイメージすることです。
その契約は何を目的としているのか?着地点はどこか?
お金の流れはどうなるか?締め日と支払日は?
業務フローは?責任の所在は?権利の帰属は?
第三者から損害賠償請求される可能性はあるか?
など、より具体的に細かくイメージすることが重要です。
イメージは頭の中でするのではなく、当事者相関図を作成し、お金の流れや権利の帰属など矢印を付与するなどして、分かり易く図を作成します。
ここでまず注意すべき点としては、自社のリスクを回避するために、自社はどこから損害賠償請求等、責任追及される可能性があるかを探ることです。
損害賠償請求は、契約の相手方からのみとは限りません。
商品を製造し販売するOEM契約などは、商品を購入する消費者から製造物責任を追及される可能性もありますし、
システム開発に関する契約は第三者の権利侵害が問題となり、損害賠償請求、その他差止め請求を行使される可能性もあります。
そこで、これらのリスクを洗い出し、自社が損害を負担するのか、相手方が負担するのか、それとも協議事項にするのかなどを事前に決めておく必要があります。
費用以外にお金が自社から流れ出ないようにリスク(お金の流れ)を絶つ必要があります。
次に、契約内容が定まりましたら、その契約モデルに対する各種法令・ガイドラインをチェックします。
契約内容を定めるとは、「今回の取引は業務委託契約に該当する」「代理店契約に該当する」「継続的売買契約に該当する」など、定めることを言います。
契約書は、契約自由の原則により法律とは異なる内容を定めることが可能ですが、強行法規に触れる内容を定めた場合は、法律の内容が優先されます。
また、あまりにも公平さに欠ける内容の契約は、公序良俗に反して無効となる可能性があります。
しかし、各種法令の文言が強行法規かどうかは法文上定かではありません。
様々な判例の上に成り立っているものなどもありますので、ここら辺に不安を感じられる方は、専門家のリーガルチェックなどを受けた方が安心でしょう。
契約内容が定まった場合、その契約モデルにはどういう法律が関わっているのかを調べる便利なツールとして「法令データ提供システム」がございます。
次に、各種法令をチェックした後は、公正取引委員会のガイドラインをチェックして下さい。
業務委託契約書や代理店契約書などを作成する上で、各種法令のチェックの際に、必ずチェックしなければならないのが「独占禁止法」です。
独占禁止法に触れる契約内容は行政処分などペナルティを科せられる可能性があります。
また、契約の相手方から契約内容の無効を主張される可能性もありますので、独占禁止法のチェックは怠らずにして頂きたいのですが、自社で作成した契約書が独占禁止法に触れているのか判断するのは容易ではありません。
独占禁止法上に記載されている文言は抽象的なので、条項を読んだだけでは判断が出来ません。
そこで、公正取引委員会はガイドラインを定め、ガイドラインに沿った形で取引を進めたり、契約書を作成するように促しております。
公正取引委員会は、独占禁止法に触れている場合や、ガイドラインに触れている企業に対して、排除命令や罰金を科したりなどします。
つまり、契約書を作成する上で、法令のチェック後はこのガイドラインに触れないよう契約書を作成する必要があるのです。
話が少し反れますが、当事務所は金銭トラブルの対応として内容証明の作成を業務として提供しております。
その際に、企業間の契約トラブルに関しては、相手方がこのガイドラインに触れた契約内容を定めていないか?若しくはガイドラインに触れた取引をしていなかを調査します。
相手方が法令・ガイドラインに違反している場合は、内容証明にその旨、そして、その旨を公正取引委員会に申告する旨記載し、トラブル解決を図ります。
公正取引委員会にはこれらの申告窓口を設けているので、電話又は書面で違反内容を申告することが可能です。
申告した内容に公正取引委員会が調査又は何かしらの制裁を下すかどうかはケースバイケースですが、相手方に対する交渉(交渉はお客様自身で行って頂きます)の武器としては非常に有効な手段となりますので、
契約書を作成する際は、トラブルになった際に、公正取引委員会から排除命令などを受けないような形でコンプライアンスを意識する必要があります。
実際に、上記のようなケースに該当する場合、内容証明のみでトラブルが解決することが多いです。
フランチャイズ契約などは、各種法令やガイドラインによりフランチャイザーには相当数の義務が課せられているので、これら全ての義務を適法に遵守しているフランチャイザーは多くはありません。
業務委託契約などは、下請法の適用有無の判断も必要になりますので、契約書を作成する作業というのは非常に骨の折れる作業と言えます。
代理店契約も専売店条項やテリトリー制、販売先指定条項、再販売価格維持条項など、ガイドラインにより細かく規制がありますので、ガイドラインのチェックは怠らないようにして下さい。
ここまで、準備が整いましたら、次は契約書の作成作業に入るのですが、契約書を作成する際に、大抵の方が市販の書籍の雛形やネット上から雛形を拾ってきて利用することが多いと思いますが、
これらの雛形をそのまま利用することはおすすめしません。
本メルマガでダウンロードできる業務委託契約書もそのまま利用しないで頂きたいと思います。
というのも、雛形というのは、広く一般的に利用されることを想定して作成しているので、必ずしも自社の契約内容に適合しているとは言えないからです。
雛形は、あくまでも参考程度にしておいた方が良いと言えます。
市販の雛形集もそのまま利用することは控えるようにと注意書きがありますので、出来る限り取引内容に適合した形に修正して下さい。
市販の契約書本で何が良いか聞かれることがありますが、どれも一部は良い本と言えますが、どれもあまり使えないとも言えます。
上記でも記載したように業務委託契約書、代理店契約書、フランチャイズ契約書などは、各種ガイドラインの理解も必須になりますので、雛形のみ読んだところで意味はありません。
本当に使える書籍としては、一つの契約モデルに対して、最低15ページから4,50ページ位の説明書きが入っているものになりますが、これらの書籍は非常に値が張りますので、専門家以外の方が購入するには抵抗があるかもしれません。
決して、市販の1000円~3000円位の書籍が使えない訳ではありません。
当事務所も上記市販の書籍は多数揃えております。当事務所が提携している弁護士事務所が出版されている契約書本など、非常に良い本と言えます。
要は、市販の書籍は使い方次第で良くも悪くもなりますので、今回説明致しましたご自身でチェックすべき点は怠らずに契約書を作成すれば良いのです。
契約書は、そのビジネスに対する経営者の思いや気持ちの表れと言うことが出来ますので、決して軽く見ないことが必要です。




