当事務所では個人への業務委託を適法に成立させるための相談や契約書のチェックを多く引き受けておりますが、お客様が作成した契約書を当事務所でチェックして加筆修正する業務が非常に多いと言えます。
その中で毎回どのお客様にもご説明するのが、個人への業務委託に交通費や勤務日数という概念は無いということです。
アルバイトや契約社員を業務委託に切り替えるから発想がうまく転換できていないのだと思いますが、会社対会社の業務委託を考えれば分かり易いと思います。基本的には会社対会社も個人対会社も一緒ですので。
外部の会社に業務を委託した際に、その会社に交通費は支払っていますか?
支払っていないですよね?
業務を受託した会社がその業務に何人の従業員を従事させるかは自由ですし、人数に応じて交通費も請求するのは可笑しい話です。
業務委託は、受託した業務の完成によって報酬を頂く請負の性質を有しているので、委託料は仕事の完成に対する対価です。
ウェブサイトの保守・運用などは準委任的性質を有するので、上記請負とは異なりますが。
また、最低月何日以上の出勤を条件としたいという要望も多いですが、これは労働者としての可能性が非常に高く、労働基準法の適用があり、業務委託にはなりません。シフト管理などは出来ません。
※他の要素と総合的に勘案してタイムチャージ制を取ることは、一部の専門業種においては可能です。
業務を受託した個人は、引き受けた業務を決められた期間内に完了すれば良いので、勤怠は完全に受託者の自己管理です。
委託者がこれらを管理することは指揮命令があるとみなされ、労働者とみなされます。
従って、くれぐれも契約書に交通費の支払や勤務日数の定めを記載してはなりません。
また、作業スペースの無償貸与は許されません。これは有償でスペースを貸与しなくてはなりません。
そのためには委託者と受託者との間で賃貸借契約を交わさなくてはなりません。
車両なども無償での貸与は許されません。有償で賃貸借契約を交わして下さい。
これらを無償で貸与している場合は労働者とみなされる可能性がありますので、注意して下さい。
文具類なども受託者自らが調達しなくてはなりません。これらを無償で支給する場合も労働者とみなされる可能性がありますので、注意して下さい。
どうでしょうか?
こうして見てみるとやはり個人への業務委託を適法に成立させるのは難しいとご理解頂けるかと思います。
契約書に堂々とこれらの記載をして個人に業務委託をしている会社は注意して下さい。
労働基準監督署に目を付けられないように、業務委託を利用したい会社は早目の整備を心がけて下さい。
以上はあくまでも原則ですので、例外ももちろんあります。特殊な事例であれば、上記記載内容が当てはまらない場合もありますので、個人への業務委託を利用しようと検討されている会社は事前に調査を怠らないようにして下さい。




